糖尿病内科
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなることにより引きおこされる病気です。膵臓から分泌されるインスリンの作用が不足し、血糖値を下げる働きが低下することで起こります。
糖尿病の種類
1型糖尿病
すい臓からインスリンがほとんど分泌されなくなってしまうことにより高血糖となる糖尿病です。治療としては、基本的にインスリン注射を必要とします。
2型糖尿病
インスリン分泌の低下、インスリンの効き方が悪くなることにより高血糖となる糖尿病です。治療としては、運動療法、食事療法が基本となりますが、それでも血糖を下げる必要がある場合に薬物による治療を検討します。
妊娠糖尿病
妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響で、高血糖を生じやすくなります。高血糖のまま妊娠を続けることは、流産やお子様の先天異常、出産時の合併症の危険性が高まります。妊娠中の血糖管理は、まず食事療法を行いますが、高血糖が続く場合にはインスリンを使用して治療を行います。
その他の糖尿病
血糖を上昇する作用のあるホルモンを産生する内分泌疾患であるクッシング症候群、先端巨大症、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症、甲状腺機能亢進症などで糖尿病になることがあります。また、膵臓の手術で膵臓の機能が低下したことによる膵性糖尿病、ステロイド薬、ホルモン療法、がんの化学療法、精神科の薬の副作用により高血糖になることがあります。
糖尿病に特有の症状
軽度の血糖上昇だけでは症状がでないこともありますが、血糖上昇によりさまざまな症状がでてきます。少し血糖があがるだけでは症状がでないこともありますが、血糖があがってくるとさまざまな症状がでてきます。以下のような症状があるときには、糖尿病の可能性もありますので、お気軽にご相談ください。
- のどが渇く、水をよく飲む
- 尿の量、回数が増えた
- 尿に泡が立つ
- 尿に甘い匂いがする
- 体重が増えた
- 食事、運動は普段通りなのに体重が減った
- 体がだるい、疲れやすい
- 性欲が低下した
- 手先、足先のしびれ、冷え、痛み
糖尿病の診断について
糖尿病の診断は、血糖値、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)、および症状から判断いたします。血糖値は食事や身体活動の影響を受けて大きく変動します。そのため、過去1-2か月の血糖値の平均を反映するHbA1cを用います。
①早朝空腹時の血糖値が126mg/dL以上
②75グラム経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)の2時間値が200mg/dL以上
③早朝空腹時ではない時間に測定した血糖値が200mg/dL以上
④HbA1cが6.5%以上
①~③のいずれかと④が確認されれば糖尿病と診断します。また、①~③のいずれかと典型的な糖尿病の症状、もしくは糖尿病網膜症がある場合にも糖尿病と診断されます。
糖尿病の合併症について
高血糖の状態が続くと様々な合併症が起こります。高度のインスリン作用不足により発生する急性合併症と、長期間の高血糖状態から発生する慢性合併症があります。
急性合併症
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
インスリンの作用が急速に低下して短期間で高血糖状態になり、体内でケトン体という物質が産生され、体内でのバランスがくずれた状態(アシドーシス)になります。意識レベルの低下、血圧の低下などの命にかかわるような重篤な状態になりますので、緊急入院、集中治療が必要です。
高浸透圧高血糖状態(HHS)
著しい高血糖(≧600mg/dL)と高度な脱水により血液の浸透圧が上昇し、脳神経系の循環不全をきたした状態です。意識レベルの低下、けいれんなどの神経学的異常、血圧の低下を認め、この病態も命にかかわるような重篤な状態になりますので、緊急入院、集中治療が必要になります。
慢性合併症
慢性的な高血糖は、酸化ストレス、終末糖化産物(AGEs)といった血管を老化させる物質の産生につながり、細い血管の障害(細小血管障害)をおこすといわれています。代表的なものが、糖尿病の三大合併症とされる糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害です。
糖尿病網膜症
網膜は、眼の奥にある薄い膜で、光を感じとる視細胞が面状に並んでおり、眼に入ってきた視覚の情報を脳におくる重要な部分です。網膜には毛細血管が張り巡らされており、高血糖による障害を受けやすい部分となります。初期には無症状ですが、進行すると硝子体出血、網膜剥離を生じ、視力低下、失明となる可能性があります。糖尿病と診断されたら、定期的に眼科を受診して、眼の状態を確認することが大変重要です。
糖尿病腎症
腎臓は、腰のあたりに左右1個づつある臓器です。血液をろ過して尿を作り、体内の水分量を調節したり、不要な物質を排出し、必要なものは再吸収するといった体内の環境を正常に保つための重要な臓器です。腎臓にも毛細血管が張り巡らされており、高血糖による障害が進行すると、手足のむくみ、胸にお水がたまる、貧血、電解質(カリウム、ナトリウム、カルシウム、リンなど)の異常、骨粗しょう症などの腎不全に伴う症状が出てきます。腎不全が進行すると人工透析、腎移植が必要な状態になります。糖尿病と診断されたら、定期的な血液検査、尿検査を行い、腎機能の障害が進行していないか確認することがとても大切です。
糖尿病神経障害
神経は体内のあらゆる臓器に分布していて、その機能・調節に関与しています。たとえば、体を動かすためには脳からの指令が脊髄(背骨の中の神経)を下り、動かしたい筋肉まで末梢神経を介して伝わります。また、痛い、熱いなどの感覚は、皮膚などにある傷害受容器から末梢神経を介して、脊髄を上り脳に伝わります。神経にも毛細血管が広く分布しているため、高血糖による障害は神経にも起こるとされています。糖尿病による神経障害は比較的早期からおこるといわれていて、典型的な症状としては、足先、足の裏のしびれ、痛み、異常感覚(膜が張っているような感じ)を生じます。また、自律神経は呼吸、血液循環、消化、体温、発汗調節などの人間の生命維持に重要な機能を意思とは関係なく自律的に調節している部分です。これらの自律神経も糖尿病により障害を受けることがあり、その場合、血圧の調節障害、消化管の機能低下などが起こることがあります。糖尿病と診断されたら、これらの神経障害を生じないように適切な治療を行うことが重要です。
動脈硬化性疾患
正常な動脈は心臓から拍出された血液をスムーズに末梢の臓器におくるため、ゴムのような伸びやすさ(弾力性)を持っています。動脈硬化とは、動脈の壁が固くなり弾力性を失ってしまう状態をいいます。動脈硬化が進行すると、中くらいの大きさの血管が詰まってしまい、心筋梗塞や脳卒中、足の壊疽(足先の血流障害により皮膚、筋肉の組織が死んでしまい色が変わってしまうこと)の発症につながります。動脈硬化の進行には、いくつかの危険因子が関わっていますが、糖尿病は、動脈硬化性疾患の重要な危険因子とされており、高血糖の程度が軽い境界型の状態でもリスクが増加するといわれています。さらに怖い部分は、糖尿病の患者さんは、はっきりとした症状のない(無症候性)心筋梗塞を起こすことがあり、心筋梗塞を発症した時には病変がかなり進行した状態であることがまれではないことがあります。動脈硬化の予防には、糖尿病を含めて、血圧管理、脂質異常症の管理を含めた総合的な治療が必要です。
そのほかの合併症
糖尿病の治療薬剤による低血糖、感染症についても注意が必要です。
糖尿病とがんについて
糖尿病になると、さまざまな臓器のがん発症のリスクが上がるといわれています。そのため、糖尿病の患者さんは定期的ながん検診の受診をおこなうことが重要です。
糖尿病の治療
1型糖尿病の方は、インスリン分泌の低下が高血糖の原因となっているため、基本的にはインスリンによる治療を行いますが、インスリン分泌低下の程度が軽い場合には、飲み薬による治療を行う場合もあります。2型糖尿病の方は、まず食事療法、運動療法を行い血糖の改善を試みます。それでも血糖を下げる必要がある際には、薬物による治療を行います。現在、多くの飲み薬、注射薬が選択できるようになっており、患者さんのライフスタイルに合わせた治療を提案し、選択していただきます。
自己血糖測定について
インスリンを使用されている方、GLP1作動薬の注射薬(マンジャロ、オゼンピック、トルリシティーなど)を使用されている方は、自己血糖測定が保険適応となります。自己血糖測定は、日々の血糖変動を把握するために大変有意義な方法であるとともに、糖尿病薬の重篤な副作用である低血糖を予測、予防するためにも施行されることをお勧めいたします。
当院では指先の毛細血管採血による血糖測定、および持続血糖測定器である「フリースタイルリブレ2」をそれぞれご利用いただけます。
「フリースタイルリブレ 2」選定療養費のご案内
当院では間歇スキャン式持続血糖測定器「FreeStyle リブレ 2®」を、インスリンやGLP1作動薬の自己注射をされていないフリースタイルリブレ保険診療対象外の患者さまにも、選定療養制度を使用してご提供いたします。
利用料金
フリースタイルリブレ2 センサー1個 7,000円(税込み)
「選定療養」とは患者様ご自身が選択して受ける追加的な医療サービスで、その分の費用は自己負担となります。間歇スキャン式持続血糖測定器(フリースタイルリブレ2)が保険診療の対象とならない患者様が使用することは選定療養の対象となり、当院は実施施設として届け出をしております。
